2019年1月1日時点の公示地価では,全国の商業地の地価上昇率トップ10地点のうち、関西の大阪市、京都市内の標準地が7地点を占めました。

具体的には,地価上昇率の2位に大阪中央5-24(黒門市場・千成屋;上昇率+44.4%),3位に大阪北5-16(梅田・エスパシオン梅田ビル;+44.2%),4位に東山5-7(祇園・豊田愛山堂;+43.6%),5位に大阪北5-13(梅田・芝田町ビル;+42.9%)7位に下京5-17(下京・プルミエール生島;+39.5%),8位に東山5-9(三条京阪・GOZAN HOTEL;39.0%),10位に淀川5-8(新大阪・第一生命ビル;+38.2%)がランクインしています。

ちなみに,地価公示の標準地の番号(ナンバリング)は,市区町村名の後に番号が付けられる形となっており,商業地は,番号の前に種別番号「5」を付した5-○という番号で表されます。したがって,「大阪中央5-24」というのは,大阪市中央区の商業地の第24番の地点ということになります(中央区の前に「大阪」と付いているのは他の都市の中央区(東京都中央区など)と区別するためです)。

なお,住宅地は種別番号なしで直接番号を付した「大阪中央-1」,準工業地は「7」を付した「大阪中央7-1」,工業地は「9」を付した「大阪中央9-1」といった形で表示されます(実際には大阪市中央区には準工業地と工業地の標準地はありません。店舗事務所など商業地と住宅地ばかりですので。)。

なお,上記の上昇率上位の地点は,あくまで「公示地価の標準地として国が選定している土地(全国2万6000地点)のうちの上位」ということで,標準地としてピンポイントで選ばれている以外の土地に,実際にもっと上昇率の高い土地があったとしても,それは公表されている公示地価には表示されることはありませんので,ご留意いただきたいと思います。あくまで国が標準地として選定し,地価を判定した地点の中では,ということにとどまります。
例えば, 大阪北5-16 梅田茶屋町のエスパシオン梅田ビル以外にも,近くの茶屋町地区や阪急梅田駅周辺の地区で,同等の上昇率あるいはもっと地価が上昇していた土地があったとしても,それは標準地として選ばれてない以上,公示地価の順位には現れません。

上記の地価上昇率を見ると,東京都心5区(千代田区,中央区,港区,新宿区,渋谷区)などでは,地価の上昇がある程度行くところまで行ってしまい,土地にやや割高感も生じてきている一方,首都圏以外の主要都市の中心部に土地の需要が波及し,その中でも外国人観光客によるインバウンド効果が顕著な大阪,京都といった関西圏の都心部の地価が急上昇していることが分かります。

本田圭佑選手的には,「大事なのは『のびしろ』ですね。」といったところでしょう。

特に,関西でも梅田といったオフィス需要の高い大都市中心部だけでなく,大阪の黒門市場や京都の祇園といった,外国人が大勢訪れる観光地の上昇率が高くなっていることは,インバウンド効果の大きさを物語っています。

(その3に続きます)