所有者が誰か分からない土地が,九州の面積を上回るほど増えているといわれています。
その多くは,相続に際し,土地の登記名義を,亡くなった方の名義のまま長年放置している結果,現在の所有者(相続人)が極めて多数になっていたり,相続人の居所が分からず,連絡が取れなくなっていることなどが原因となっています。

例えば,都道府県や市町村などが,ある土地を,道路用地として買収したい,または,会社や個人が,ある土地を買ってそこに建物を建てたい,といったような場合,土地の所有者と交渉をして買い取るわけですが,登記簿(土地全部事項証明書)を見ても現在の所有者(相続人)が誰か分からない,調査して分かったとしてもどこに住んでいるか分からない,といったような場合には,買取りの交渉すらできないことになります。
また,例えば祖父・祖母の代のまま登記を放置しているような場合には,相続人が数十名にも及ぶ場合もあり,それら全員の所在を確認して連絡を取り,交渉を行うというのは非常に困難です。

こうした問題に対処するため,以下の記事のように,政府は,民法(主に物権法)と不動産登記法の改正を進めようとしています。
そこでは,土地の相続登記を義務にしたり,遺産分けの話し合い(遺産分割協議)の期間にも制限を設けることが検討されており,土地の相続のあり方については,今後大きな影響がありそうです。

日本経済新聞電子版 2019/2/8 9:00 (2019/2/8 11:45更新)より
「法務省は8日,所有者不明の土地が増えている問題を解消するため,民法と不動産登記法を見直すと発表した。相続登記の義務化や所有権の放棄を認める制度の創設,遺産分割の話し合いができる期間の制限などが柱となる。」
(以上引用)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4105341008022019MM0000/

(その2に続きます)