朝日新聞デジタル 2019年1月29日19時41分

特別養子縁組,15歳未満に引き上げ 養親の負担減も

https://www.asahi.com/articles/ASM1Y62M0M1XUTIL043.html

【特別養子縁組とは?】

「特別養子縁組」とは,子どもの福祉の増進を図るために,養子となる子どもと実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し,養親と,実の子と同様の親子関係を結ぶ制度です。

特別養子縁組は,養親になることを望む夫婦の請求に対する,家庭裁判所の審判による決定で成立します。

特別養子縁組は,1987年の法改正で導入され。年間500件ほどで推移してきましたが,近年は増加傾向にあり,2017年は616件が成立しています。

この制度が導入された背景には,いわゆる「わらの上からの養子」問題がありました。子どもが生まれたけれど育てられない夫婦と,子どもを引き取って育てたい夫婦がいた場合,産科医院などのあっせんにより,実の親子関係を偽り,最初から,子どもを引き取りたい夫婦の実子として,役所に出生届を出すといった窮余の策をとるケースが見られ,社会問題化しました。

このような社会問題に対処する制度の一つとして,「特別養子縁組」が導入されました。

特別養子縁組は,従来の養子縁組の制度とは異なり,より,できる限り引き取り手の養親と養子の親子関係を,実の親子に近づける制度となっています。

【特別養子縁組の特徴】

まず,特別養子縁組によって,実父母との親族関係は終了します。実父母の親権も相続権もなくなります。

従来の養子縁組では,実父母との親族関係も残りましたので,相続などの際,実父母からの相続と,養父母からの相続の両方を受けることができる関係となっていました。

これに対して,特別養子縁組では,実父母との相続関係は生じないことになります。

また,戸籍にも,実の親の名前は記載されず,養子の続柄は,普通の養子のように「養子」と記載されるのではなく,「長男」や「長女」といった記載がなされることになります。これにより,ぱっと見ただけでは,養子と分からないような工夫がなされています。

戸籍実務においても,いったん,養子の単身の戸籍を編製したうえで,そこから養親の戸籍に入籍する(戸籍法18条3項)ことにより,養子であることをわかりにくくする配慮がなされています。

ただし,実子の場合と全く同様の戸籍の記載になっているかというと,そうではなく,戸籍には,「民法817条の2による裁判確定」という記載が入りますので,民法の条文を知っている人には,特別養子であることが分かるような記載になっています。

離縁についても,原則として認められておらず,①養親による虐待など養子の利益を著しく害する事由があり,かつ,②実父母が相当の監護をすることができる場合に限り,養子の利益のため特に必要があるときに,養子,実親,検察官の請求により,家庭裁判所の審判により離縁できることとされています(民法817条の10)。

これらの特別な効果が生じることから,特別養子縁組は,従来の養子縁組よりも,要件が厳しくなっています。具体的には,「特別養子縁組」の成立は,法律に定める要件を満たした上で,さらに,父母による養子となる子どもの監護が著しく困難又は不適当であること等の事情がある場合で,子の利益のため特に必要があると,家庭裁判所が決定した場合に認められています。

次回は,現行法が定める,特別養子縁組の要件についてみてみます。

(その2に続きます)