NHKニュース 2019年1月8日 10時50分 www3.nhk.or.jp
東京高検検事長に法務省の黒川事務次官
東京高等検察庁の新しい検事長に法務省の黒川弘務事務次官が起用されることになりました。

法務省の事務次官が,東京高検検事長に栄転,というニュース。
普通の省庁は事務次官が事務方のトップのはずですが・・・?
法務省・検察庁は,これまでの人事異動をみる限り,ナンバー1:検事総長-ナンバー2:東京高検検事長-ナンバー3:大阪高検検事長-ナンバー4:次長検事-ナンバー5:法務事務次官という序列になっています。
法務省のトップのはずの事務次官をやってから,東京高等検察庁のトップである検事長になる,という分かりにくい人事の体系が形成されています。

理由としては,ナンバー1~4のポストが天皇の認証を要する認証官で,ナンバー5の事務次官は認証官ではないから,認証官の方を上に置くために,バランスを取らざるを得ないのだと思われます。ではなぜナンバー1~4のポストが認証官になっているかというと,最高裁判所の判事と高等裁判所の長官が認証官であるため,それに対応する検察のポストも認証官に,というバランスを考慮したものと考えられます。
そもそも法務省の本省(霞ヶ関勤務)の課長級以上のポストは,ほぼ全員が検察官出身(一部裁判官出身も存在)というのもかなり特殊な人事運用です。
これらの人事のルールは,特に法律で決められているわけではないのですが,官庁の人事は長年の慣行による微妙なバランス・均衡が非常に重視されています。

外務省も,人事体系は通常の省庁とは異なっていて,事務次官より格上に,アメリカ大使,駐米大使,ロシア大使,国連大使のポストがあるとされています。外務事務次官を経験してから,アメリカ大使へと赴任するわけです。これも特命全権大使が認証官であることが関係しているのでしょう。