【本当に注意すべきは契約期間満了時!再契約は?】
定期借家契約を締結する際,賃貸人である大家さんは,契約書とは別に,更新がないことなどを説明した書面を交付しなければならず,これを怠ると,定期借家契約ではない,普通の借家契約になってしまいます。もっとも,宅建業者さんに仲介を依頼されている場合は,その宅建業者さんが大家さんから委任状をもらい,大家さんの代理人として賃借人に説明書面を交付し,説明してくれることが通常です。
ただし,本当に注意すべきは,契約期間が満了した時の取扱いです。通常の借家契約と異なり,定期借家契約には更新がないのですから,契約期間が満了すれば借家契約は終了します。したがって,引き続き同じ借家人の方に建物を貸すという場合には,再度,新しく定期借家契約を締結することが必要になります。
定期借家契約を締結するときには,契約書とは別に,更新がないことなどを説明した書面を交付しなければならないというのがルールですから,たとえ同じ借家人に引き続き貸すといった場合であっても,この説明書面の交付が必要となります。それを忘れてしまうと,期間の定めのない賃貸借を締結したということとされ,定期借家契約ではなくなってしまいますので要注意です。一度説明しているのだからそれでいい,賃借人は定期借家であることを分かっていたはずだ,といった理屈は通用しません。
当初の定期借家契約締結の際は宅建業者さんに依頼していたが,その後契約期間が満了したときは,大家さん自身が契約の手続を行っているといった場合,この説明書面の交付を忘れないようにご注意ください。
また,定期借家契約を再度新しく締結する場合,保証人・連帯保証人との契約も再度行う必要があることも認識が必要です。
【定期借家契約を終了させるには,契約終了の通知もお忘れなく】
なお,定期借家契約を終了させるためには,大家さんは,定期借家契約が終了する1年前から6か月前までの「通知期間」に,借家人の方に対して「契約期間満了によってこの契約が終了する旨の通知」を必ず行わなければならないことにも併せてご留意ください。