近年,借家契約に更新のない定期建物賃貸借(いわゆる定期借家)契約が増えてきています。大家さんとしては,2年後,3年後といった決まった時期に無条件で退去してもらえるというメリットは大きいでしょう。
【”契約書とは別個独立の書面”が必要】
この定期借家の契約に際しては,賃貸人は、あらかじめ賃借人に対して、契約更新がなく、期間満了により当該建物の賃貸借が終了することについて、その旨を記した書面を交付して説明することとされています(借地借家法38条2項)。
そして,最高裁の判例は,この説明書面について,「契約書と別個独立の書面」でなければならないとし,別の書面を交付しなければ,定期借家に当たらない=期間の定めのない借家契約になるとしています(最高裁平成24年9月13日判決民集66巻9号3263頁)。つまり,大家さんは,契約書と別に,更新がないことなどを説明した書面を交付しなければならず,これを怠ると,定期借家契約ではない,普通の借家契約になってしまうのです。(その2に続きます)