【不動産価格についての情報源は?(その3)】
4 国が公表している土地の取引価格
国土交通省は,土地取引の透明化(=土地の売買件数や価格を誰にも分かりやすくすること)及び市場の活性化を図ることにより,取引を促進するため,全国の土地取引をできるだけ把握し,その取引価格を公開しようとしています。これは,法務局の登記情報をもとに,アンケート調査によって国土交通省が取引価格を把握しているものです。

土地総合情報システムのサイト
https://www.land.mlit.go.jp/webland/
の「不動産取引価格情報」で,平成25年度以降の公表されている取引価格を閲覧することができます。
プライバシーの問題がありますので,公表されている範囲は,個別の土地が特定されないよう,○○市○○町の○○㎡の土地,総額○○○万円,坪単価○○円といった内容にとどまりますが,同じ町内の土地がいつ頃,どの程度の単価・総額で売れたのかということは相当程度把握できます。また,そのデータの量は膨大で,今後さらに蓄積が進んでゆくはずですので,ある地域の地価水準や,地価の上昇または下落といった動向を知るための貴重な情報になるものと思われます。

5 不動産業者(宅地建物取引業者)による査定額
宅建業者,いわゆる不動産屋さんに,不動産の相場,査定額を尋ねることもよく行われています。宅建業者さんは,指定流通機構(REINS:レインズ)が蓄積・管理する。具体的な不動産取引価格情報を利用できますので,不動産の成約価格(売買が成立した価格)や募集価格のデータを大量に把握できます。
さらに,これらのデータに,宅建業者さんがそれぞれ把握している地域の売買の成立状況や,地価・需給動向などの情報も勘案し,対象となる不動産の個別性(形や大きさ,角地か否かといった特徴や建築基準法・都市計画法などの制限等)による増減価を考慮して,不動産の査定額を決めることになります。また,不動産の価格に加え,賃料(地代・家賃)についても同様に,宅建業者さんはレインズのデータや地域の賃料相場を把握しているので,査定を行えますし,これらの賃料データをもとにして,不動産の収益価格(収益面から検証した価格)を査定することもあります。
不動産がいくらで売れるのかといった売り希望価格や,いくらで買いたいのかといった買い希望価格も,まずはこうした宅建業者さんの査定に基づくことが多いです。
訴訟や調停と言った場でも,不動産鑑定評価をするまでもない案件,または不動産鑑定評価をするか検討する前段階で,まず,参考資料や疎明資料として,宅建業者さんの査定書が提出されることがよくあります。
(その4に続きます)